マイクロフォンを2本使ったステレオ録音にはいくつかの方式があります。
XY Stereo方式
単一指向性のマイクをXの形に交わせて録音する方式です。
開き角は90°~120°と言われています。位相のずれが無いことが特徴です。
MS方式(Middle Side)
正面を向いた単一指向性マイクとそれに直交する双指向性マイクを用いた方式です。
2つのマイクを正相にして加算したものをL,減算したものをRとすることによってステレオ信号を得ることができます。中央の音が充分に収音できるということが特徴です。
Neumann RSM 191 A Set $5,299
ORTF方式(ORTF Stereo Technique)
2つの単一指向のマイクを17cm(欧米人の一般的な両耳の距離)離して110°~115°の角度で開いて録音をする方式です。人体の構造を真似て作られました。音源から距離を離した場合、近接効果で低域が失われることが特徴です。
Schoeps MSTC 64 U $3,353
NOS方式(NOS Stereo Technique)
2つの単一指向のマイクを30cm離して、90°の角度で開いて録音する方式です。オランダの公共放送(Nederlandse Omroep Stichting)が用いています。
OSS方式(Optimal Stereo Singmal)
円形のディスク『Jacklin Disc』をはさんで2本の無指向性マイクロホンが160〜170mmのスペース、約20°の角度で配置されています。
AB方式(Spaced Omni)
無指向性のマイクを60cm〜2m離して録音する方式です。2つのマイクの距離は開けば開くほど音の広がりを得られます。
バイノーラル方式(Binaural stereo)
ダミー・ヘッドに組み込まれたマイクで人間の鼓膜に届く状態を録音する方法です。
Neumann KU 100 $7,799
Binaural recording Audio samples
1986年に行われたバイエルン放送のトーンマイスターによる実験によると、XY→MS→ORTF→
OSS→ABの順に定位表現の良さが確認され、逆の順番に空間性の素晴らしさが認められたそうです。
〜次回はサラウンドにおけるマイキングを紹介します〜
参考:
ステレオ録音
音の風景 - ワンポイントステレオマイクあれこれ
変人音館 - セッティングの基礎
DPA Microphones:Stereo Techniques
The stereophonic zoom by Michael Williams
Modified ORTF/NOS Recording Technique by Audio Field Recorder
Stereo Microphone Arrays for Ambient Field Recording Curt Olson ***
Shure WL183 Electret Lavaliere Mics Dan Dugan
サラウンド入門はサラウンド制作の実践的な解説書です。
No comments:
Post a Comment