February 8, 2011

Studio Space Lab. -サラウンド専門スタジオ-

都営地下鉄丸ノ内線 中野富士見町駅から徒歩3分の場所に在る、3Dミュージック専用スタジオ Studio Space Lab.に伺う機会を頂きました。Studio Space Lab.はサラウンドを専門としたスタジオで、神田川が近くに流れる落ち着いた閑静な住宅街にある。今回お話をして頂いたのがサラウンドアーティストとして活躍中の瀬戸勝之さん。


瀬戸 勝之(せと かつゆき katsuyuki seto)プロフィール
日本のサラウンドクリエイター。3D MUSIC制作スタジオ『studio SapceLab.』を主宰。5.1chサラウンドを主軸にサウンドプロデューサー、サウンドデザイナー、ミキシングエンジニア、トラックメイカーとして活動している。またクラブイベントではDJとして世界初のサラウンドDJプレイ (CLUB PLAY) の第一人者でもある。


スタジオの特徴を詳しく説明してくださいました。

 Studio Space Lab.は10年間のサラウンドの研究を経て、2002年に立ち上げたプライベートスタジオを、2010年4月に「3DMUSIC」専用スタジオとしてリニューアルオープンされました。主にミキシングやマスタリングに使用されています。
 スタジオには5.1chのサラウンドシステムが常設されていて、設計はサラウンド再生をしたときのスピーカーの角度に合わせた六角形が採用されています。そしてサラウンドの中央にはなんとミラーボール がスタジオ内に設置されています。7.1ch対応。クロックジェネレーターは、10万年に1秒の誤差というセシウム原子時計を基にする標準電波時計を受信してクロック源に用いています。DAWシステムはNUENDOを採用。

 クラブイベントでサラウンドDJをパフォーマンスするときのノウハウや、スタジオでのサラウンド制作を伝授しました・・・!

【サラウンドミックステクニック その① -スピーカーシステム-】
 ミックスをするにあたって大切なことに、音響システムを把握、理解していることがあげられる。たとえばクラブではモノで再生されることがある。ハコのシステムを理解することによって歪みの無い高音質の再生を可能にするのがプロのDJ。
 ステレオの素材をサラウンドで再生する際、会場では4.1chのクアドロフォニックサラウンドシステムが採用される。その理由は、ステレオの音楽にセンターが必要ないということと、クラブでは素材の低音は全てサブウーハーへ送られるということだ。
 サラウンドの音源を再生をした場合、現場では音が細くきこえてしまうため、サラウンドの音源を再生をした場合、現場では音が細く聴こえてしまうため、モノの2chシステムの設定より3dB大きく再生をすると良い。


【サラウンドミックステクニック その② - ムービング-】
クラブでサラウンドDJをする際、ステレオ素材をリアルタイムで定位移動をさせることをムービングと言う。テクノDJがサラウンドパンと呼ばれるツマミを使って操作をしている姿を良く見かける。サラウンドパンでは難しいとされていたフェードの効果は6本のフェーダーをそれぞれ各チャンネルのマスターとして割り当てて行く事で実現される。


ステレオ素材として選曲されたのはDJ SHADOWのHOLY CALAMITY (BEAR WITNESSⅡ)。Handsome Boy Modeling School監修のコンピレーションアルバムSo...How’s your girls に収録されていることでお馴染みのコラージュブレイクビーツの名曲。DJ SHADOWのスクラッチがとにかくカッコいい!様々なビートが連続して繋がれていくので、極端なムービングにもぴったりです。

【サラウンドミックステクニック その③ - ベースマネージメント-】
ベースマネージメントとは、モニタ環境によって異なってくるローをどのようにコントロールするかの設定のことを言う。多くの家庭にはサラウンドシステムが備わっていない場合が多いので、基本、ベースマネージメントはミキシングが終わった後、マスタリング時に行う。サラウンドの制作をする際は、一度ステレオで組み立てるそうです。
 サラウンド楽曲のミキシングをするとき、キックやベースは全てのスピーカーから出す事が多く、ロー成分が少し増してしまう。その為、ベースマネージメントではロー成分を少し下げる。

【サラウンドミックステクニック その④ -マルチモノ-】
サラウンド作品を制作するにあたってひとつの方法にマルチモノというものがある。マルチモノとは映画などで多く行われるサラウンドミックスの方法で、モノラルの素材をサラウンドに配置することで360°のイメージを作り上げていくというもの。SEの動きが効果的に表れます。

サラウンドの中で新しい表現が生まれてきていて、面白いムーブメントになってきているなと思います。サラウンドというと難しいことのように感じられますが、とにかく見聞を広めて、もっと自由に、実践するときっと楽しいことが生まれると思います!サラウンドが次の世代に広く浸透すればよいなと思います。

最後に、瀬戸 勝之さんからアドバイスを頂きました。

「YOUたち、やっちゃいなよ!!!!」

ありがとうございました!


【お知らせ】スタジオ スペース・ラボより
『3D MUSIC デモンストレーション』&『WORK-SHOP』

デモンストレーションでは、従来の映画のサラウンド音響効果とは異なる音楽に特化した
サラウンドの基礎知識やこれからの可能性について簡単なレクチャーを含め5.1chサラウンドの可能性について紐解きます。

ワークショップ(初級コース/全5回)では、360° 音の定位を考慮し空間設計を施したスタジオ環境にて作曲家、トラックメイカー、サウンドデザイナー、Dj、MAエンジニア、専門学生の方々に向けてサラウンドを前提とした楽曲制作、サウンドデザイン、ミキシング(5.1ch)の内容に標準を定めたクリエイティブな音源制作について実技と解説を交え行っております。

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